私の気持ち、あなたの気持ち、みんなたくさんの気持ちを持っているのに、
目には見えないもの。その気持ちが何なのか、どこから来るものなのか、
大人でも掴めないときがある。
やって来ては、去っていく。
好ましい気持ちも、そうでない気持ちも全部自分の中から湧いてでてくる。
子どもの悲しいことと、大人の悲しいことはまた違うかもしれないし、
この絵本は子どもの視線での、あらゆる気持ちを、色や絵で、
大胆に表現しています。
絵は最近の海外アニメ映画を観ているような感じで立体的な絵です。
文字のデザインも、気持ちによって変化していて面白い。
ハッピーな気持ちは黄色とオレンジの色をメインに、言葉は波打って、
踊っています。
イライラは表情もそうですが、女の子が来ている服も、
字体もギザギザ、トゲトゲしている。
上手くできない自分にイライラ。
このまま頑張るか、やめるか考えて、またイライラ。諦めが悪いのも、
悪いことじゃない。
大人も同じだよ。
恥ずかしい気持ちは、ピンクの淡い色調の中、字もパステルカラーで細く頼りなく、
今にも消えてなくなってしまいそうなデザインで表現されています。
今にも恥ずかしくて、そこから消えてしまいたい子どもの気持ちが伝わります。
ワクワクする気持ちが、ロケットのように飛び出した絵。
文字も躍る。
1ページごとに、全く雰囲気が変わり、見ていて楽しい。
他にも、悲しい、いかり、ほこらしい、たいくつ、やきもち、
がっかり、かんしゃ、ノリノリなど、たくさん気持ちが登場する。
1日の間に何度も私たちの気持ちは変化する。
立ち止まっていることがないぐらいに、目まぐるしく変化していく。
好ましい気持ちも、そうでない気持ちも、
このいくつもの気持ち全部で、私なのだ。
時には言葉にも、表情にも、体でも表すことが難しい気持ちもあるかもしれない。
色々な気持ちを経験することは、宝だ。
どんな気持ちも残さず、大切にしていきたい。
《著者紹介》
作:ジャナン・ケイン
イラストレーター、グラフィックデザイナーとして活躍するジャナン・ケインはシカゴ近郊イリノイ州リバーサイドに、ふたりの娘エミリーとイザベラ、そして父とともに
住んでいます。エミリーとイザベラが、本書のインスピレーションをジャナンに与えました。ふたりがとても小さかったころ、ジャナンは、感情に関する(言葉の本)を見つけることができませんでした。動物、色彩、家のまわりの物、そういった事柄に関する(言葉の絵本)はたくさんあっても、基本的な感情の名前を平易で楽しいやり方で子どもたちが学ぶことを手助けするような本はなかったのです。
※絵本より引用
【作:ジャナン・ケイン 訳:いしいむつみ 出版社:少年写真新聞社】