犬のチャーリーは朝起きてから、夜眠るまで、毎日の日課があり、
その大切なルーティンを崩してしまったら、何か怖いことが起きるのではないかと
心配で、自分で決めたルール・順序・手順を守って生活している。
毎朝、起きてから一通りのルーティーンを行ったら、
買い物へ出かける。
もちろんいつもの道順で歩き、途中にある消火栓のまわりをぐるっとひとまわりして、
大きなかしの木は、ひだりがわを歩く。
ねむるときには、ベッドのしたと、カーテンのうしろを、確かめて
ベッドにたくさんのぬいぐるみを、決まった順番に並べる。
そして1日を振り返って、今日もいい日だったなぁ~と思い出しながら、
眠りにつきます。
そんなある日、突然1本の電話がかかってきます。
友達のハンスが動けなくなって、チャーリーは助けに行くことを約束しました。
チャーリーは急いで、いつもの日課を順番通り行おうとしますが、
友達のハンスが心配で水やりを忘れたり、消火栓も急いで通り過ぎ、
かしの木もいつもと違う方向を歩いてしまいました。
チャーリーはベッドに戻って、はじめからもう一度やり直したかった。
そうこう、考えているうちに、かくれんぼをしていて、
パイプから出られなくなったハンスを見つけました。
チャーリーは知恵を絞って、
ハンスをパイプから無事救出し、そのあと、みんなで仲良く遊んで、
チャーリーはとてもいい気分でした。
チャーリーは、ベッドにいつもなら順番にぬいぐるみを並べるのに、ぐちゃぐちゃのまま。
今日はやらなくちゃいけないことを、忘れてばかりだけど、
それなのに、うまくいったよと思いながら、眠りました。
それからチャーリーはいつもと違うことをしたら、何か素敵なことが起きると
順番を気にしないで、怯えずに暮らすようになったお話です!
チャーリーにとって、いつもと同じ手順を踏むことは、
安心で、ゲン担ぎだったのでしょう?
ひょんなことから、そのルーティーンが失われ、
素敵なことが起きたことによって、チャーリーは心配を手放し、
自由になりました。
いつもと違う道、違うことをすると、見えてくる景色も変わり、
いつもとちがう1日を過ごすことができるかもしれません。
《著者紹介》
作:テリー・ミルン
南アフリカ共和国生まれ。現在はイギリス・オックスフォードを拠点に、
作家・画家として活動。マーティン・ワッデル、アンジェラ・マカリスター、
ビビアン・フレンチらの作家のお話の絵を描いた作品が、アンデルセン・プレスやウォーカー・ブックスなどイギリスの出版社から出版されている。娘が、不安から同じ行動を繰り返すという問題を抱えていることから、同様の悩みを持つ子どもたちを励ますために、本作を発表した。
※絵本より引用
【作:テリー・ミルン 訳:いしいむつみ 出版社:BL出版】