切り絵のような、パッチワークのような、コラージュのような、アートな絵がとても
おしゃれです。多彩で、多様な柄のモチーフを使用しているのに、
しっかりどのページもおさまっていて絶妙なバランスです(*^-^*)
お話はというと、小さな王様が大きなお城に一人で住んでいて、
大きな食卓にはたくさんの料理がのり、とても一人では食べきれそうにない料理と、
一人で食事する寂しさを感じている王様。
大きなベッドの端っこで、小さな王様がひとり眠りますが、広すぎて落ち着きません。
お風呂はというと噴水もあり、とても大きなお風呂で、頭まですっぽり。
出掛けようと大きな馬の背中に乗ると、いつも小さな王様は振り落とされてしまいます。
そんな中美しい、王様よりもうんと大きなお姫様と出会い結婚しました。
ほどなくして、お姫様はたくさんの子どもを産み、大きかったお城も手狭になり、
毎日子どもたちの声で、賑やかです。
あんなに大きかった食卓も、今では丁度良い大きさになり、
ごはんも残すことがなくなりました。
噴水のお風呂は、噴水のプールに変わり、子どもたちはパシャパシャと楽しい
遊び場になりました。
さみしかった大きなベッドもみんなで並んで眠れば、いまではぴったりの大きさです。
当たり前のようなお話ですが、
その当たり前の幸せを手に入れるほど、難しいことはなく、
家族の良さ、誰かと一緒に暮らすこと、一緒に過ごす時間、分かち合う喜びが、
シンプルに描かれています。
同時に大きさではなく、小さな日常にこそ幸せがたくさん詰まっている
ということを教えてくれる一冊だと思います。
《著者紹介》
作:三浦太郎
1968年愛知県生まれ。大阪芸術大学美術学科卒業。ボローニャ国際絵本原画展入選。
2004年『Je suis...』で絵本作家としてデビュー。おもな作品に『くっついた』(こぐま社)『ぼくはまる』(ブロンズ新社)『バスがきました』(童心社)『おしり』(講談社)『CO2のりものずかん』(ほるぷ出版)『おはなをどうぞ』(のら書店)はたらくくるま『よいしょ』『とどくかな』『まかせとけ』(偕成社)などがある。
※絵本より引用
【作:三浦太郎 出版社:偕成社】