★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

ちいさなヒッポ *マーシャ=ブラウン

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小さなカバの子ヒッポは、おかあさんと一緒ならどこへ行っても怖くありません。

 

ヒッポにとって、おかあさんさえ側いれば、怖いものはありません。

 

あたたかい砂地も、ひなた水も、パピルスの茂みも、

 

かばたちは、体を寄せ合いトロトロとのんびり時間を過ごします。

 

ヒッポも少しずつ大きくなって、カバの言葉を覚えるときがやってきました。

 

おかあさんはあいさつから、もしもの時に助けを呼ぶときの言葉や、色んな言葉を、

 

ヒッポに教え、一緒に練習しました。

 

ある日、大人のカバたちが、静かな川の温かい泥に埋まって眠っているとき、

 

ヒッポはひとりで、上の明るい方へと泳ぎ出しました。

 

水面に顔を出し、しだれかかっている木の葉と遊び始めようとした、そのとき、

 

目の前に現れたのは、大きな口をしたワニ。カバの子よりも体も大きなワニ。

 

ヒッポは急いで岸へ よじのぼろうとしました。

 

おかあさんに教えてもらった言葉を思い出します。『たすけて!』『あぶない!』

 

叫ぼうとしましたが、大きなワニはがぶりと、ヒッポのしっぽにかみつきました。

 

水の底へ引きずり込まれそうになります。

 

『グッ グッ グァオ!たすけて!』

 

おかあさんは、ヒッポの叫び声を聞いて、水面に顔を出し大きな口を開けると、

 

ワニをがぶりとくわえ振り回しました。

 

ヒッポは無事助かりました。

 

小さなカバの子が、お母さんから初めての言葉を教えてもらい、

 

初めてお母さん元を離れ冒険に出ける微笑ましいお話ですが、

 

動物世界で生きる厳しさも同時に描かれています。

 

ワニが登場するシーンは、子どもと一緒に息を飲み、

 

カバのおかあさんの口の大きさと、ワニを追い払う姿は圧巻です。

 

多色刷りの版画で描かれた絵は、奥行きがあり、

 

版画特有のとこどころ濃淡のある絵がとてもやさしくて素敵です。

 

水面の波紋は、木目を使用して表現されています。

 

少しずつ子どもの成長に合わせて、親も心配しながらも、見守る姿が、

 

自分の子育てとも重なります。

 

《著者紹介》

作:マーシャ=ブラウン

1918年、米国ニューヨーク州生まれ。アルバニー州立大学、ウッドストック美術学校を卒業。ニューヨーク市立図書館に勤めた時のお話会がきっかけで、絵本を描き始める。代表作に『シンデレラ』『あるひねずみが・・・』『影ぼっこ』(以上三作コルデット賞受賞)『三びきのやぎのがらからどん』がある。

 

訳者:内田莉莎子(うちだりさこ)

1928年、東京生まれ。早稲田大学露文科卒業。ソビエト・東欧の子どもの本の紹介につくす。絵本の翻訳に『おおきなかぶ』『てぶくろ』『三びきのくま』がある。

 

【作:マーシャ=ブラウン 訳:内田莉莎子 出版:偕成社

 

 

 


ちいさなヒッポ (世界の絵本)