となりに引っ越してきた魔女のマジョンナさん。
黒い服を着て、コウモリやほうき、ヘビや雲の巣も、普段気味が悪いものも、
マジョンナさんがいると、不思議と愛らしくユニークに見えるから不思議。
マジョンナさんは魔女だけどしっかり挨拶をしてくれるし、
色んな魔法をかけるけど、誰かを脅かしたり、迷惑をかけるような魔法はかけません。
いつもユーモアたっぷりな魔法です。
近所の子供が風邪を引けば、ハーブのスープを作ってくれたり、クッキーを焼いてくれたり、
ほうきを自由自在に動かし、時にはほうきにのせてくれます。
木にひかかったときも、手をぐーんと伸ばして取ってくれたり、
困ったことがあると助けてくれます。
ある日お菓子のキャンディーを舐めていると、
魔法をこっそりかけてキャンディーを大きくしてくれたり、
いつも人を喜ばせる魔法をかけます。
近所の子どもたちが、マジョンナさんの家でおやつを食べていると、
ドアを乱暴にたたく音がしました。
近所の大人たちが、魔女がこの町に住むのでは困ると抗議にきたようです。
マジョンナさんは、誰にも迷惑をかけていないのに、
魔女を差別するなんてと憤慨しました。
そこで抗議に来た近所の2人に魔法をかけると、
なんとかっこいい王子様と、きれいなお姫様になり、
二人は抗議に来たこともすっかり忘れ、気分良く踊り始めました。
それを見ていた子どもたちは、自分もお姫様や王子様になりたいとお願いしました。
するとマジョンナさんは、
”そのままのあなたが、なによりもいちばん、すばらしいのよ”
と二人を抱きしめました。
楽しい魔法の数々、魔法を決して悪いことに使わないマジョンナさん。
みんなを幸せにしてくれる魔法で、楽しませてくれます。
最後の一文は、魔法で何でもできるマジョンナさんがあえて、
魔法を使わない、使わない理由にまた感動します。
《著者紹介》
作:ノーマン・ブリッドウェル
1928年アメリカのインディア州ココモに生まれる。二つの美術学校で学び、デザイナーやライターとして活躍したのち、絵本作家としてあたたかみのある、ウィットに富んだ作品を発表している。デビュー作の『大きな赤い犬クリフォード』で、子どもが選ぶ”ベスト絵本賞”を受賞。主な絵本に、この〈となりの魔女〉シリーズと〈犬のクリフォード〉シリーズがある。
画家:長野ヒデ子(ながのひでこ)
1941年愛媛県今治市に生まれる。1978年、手作り絵本『とうさんかあさん』が第1回日本の絵本賞手作り絵本コンクール部門で受賞。以来、絵本や童話のさし絵、紙芝居、エッセー等で創作活動を続ける。主な絵本に『おかあさんがおかあさんになった日』(サンケイ児童出版文化賞推薦)、『せとうちたいこさんデパートいきタイ』(絵本にっぽん賞大賞)のたいこさんシリーズ、『海をかえして』(丘修三・文)、『かあさんになったあーちゃん』(ねじめ正一・文)、『狐』(新見南吉・文)など多数。最新刊に『ながのひでこ布の絵本』がある。
訳:ながつき るり(長月るり)
1944年京都市に生まれる。1977年から絵本や紙しばい、折り紙遊びなどを通して子どもたちと遊ぶ活動を続けている。また環境問題にとりくみ、NPO法人レイチェル・カーソン日本協会に所属して、「こどもたちと環境」についての調査、執筆などをしている。
デザイン協力:千葉園子
※絵本より引用
【作:ノーマン・ブリッドウェル 画家:長野ヒデ子 訳:ながつきるり
デザイン協力:千葉園子 出版社:偕成社】