のねずみのジュリアンは一人気ままに、暮らしていた。
友達はいないし、たった一人の生活を気に入っていた。
地上に出れば、誰かに食べられそうになるし、地下の動物もみんな邪魔に思えた。
地下の抜け穴を通れば、地下に住むうさぎや、あなぐまにも合わずにすむし、
何より安全。草むらに隠れれば、人間や犬に見つかることもない。
枝から枝へ飛び移って、美味しい木の実をとって、また巣穴に変える日々だ。
そんなジュリアンはあるひキツネに見つかってしまう。
キツネはジュリアンの巣穴までそっとついていき、
巣穴めがけて思いっきり顔から飛び込むと、
今度は抜けなくてなってしまった。前にも後ろにも進めなくなったキツネ。
僕を助けてくれないかい?
ジュリアンは自分を食べようとしたくせにと思いつつも、早く出ていって欲しかったので、
助けることにした。
キツネの身体をひっぱってみるも、どうにも抜けず、
キツネはお腹が空いてどんどん元気をなくしていきました。
可愛そうに思ったジュリアンは、
自分の晩御飯を半分わけてあげることにしました。
キツネはジュリアンを食べるより、一緒に晩御飯を食べるほうが楽しいと感じました。
ジュリアンも誰かと一緒にいるのも、あんがい楽しいかもと思いました。
次の日別の方法を考えて、無事キツネを救出しました。
またジュリアンは気ままな元の一匹ぐらしに戻りました。
以前と同じ暮らし、時間が流れました。
しかしあるひフクロウに襲われかけ、絶体絶命のピンチを
キツネが救ってくれました。
ときどきキツネと一緒に晩御飯を食べることにしたジュリアン。
それぞれの動物の巣穴がとても可愛いいです。
地下でも地上でもぞれぞれの時間が流れ、暮らしがあり、
一見友達に慣れなさそうな二人がひょんなことをきかっけに
敵同士から、友人という関係を築き、一人でいる気ままな暮らしから、
二人でいる喜び、楽しさを知ることになりました。
人生は時々奇跡と神様のいたずらのようなことから、
かけがえのない宝物を得ることがあります。
生きているって素晴らしい。生きているからこそ出会える人だったり、
経験できることがあります。
私たちは同じような毎日を過ごしているように思いますが、
いろんな奇跡の積み重ねが、私たちの毎日なのかもしれません。
【作:ジョー・トッドースタントン 訳:いわじょう よしひと 出版社:岩崎書店】