イギリス民話で有名な『さんびきのこぶた』。
誰もが知っているあの名作。学芸会などでもよく扱われる題材。
文章を書いているロベルト・ピウミーニは北イタリアの出身で、
教師から、俳優を経て、作家デビューしたという異色の経歴の持ち主。
色んな世界を渡り歩いて来たからこそ、豊かな表現力に繋がっている。
お話は3匹のこぶたたちが、自分たちの力で生きていくお話で、
まずはそれぞれに家を建てることにして、長男はワラの家を、次男は、丸太で作った家を、
三男は途方もない時間をかけながら頑丈なレンガの家を完成させる。
そこへオオカミがやってきて、こぶたを襲うと家に訪ねて来ます。
長男の家も、次男の家も簡単に吹き飛ばされたり、壊されてしまいます。
三男の家に逃げ込んだ兄弟。
レンガの家は壊されないけれど、オオカミは煙突から入ろうとします。
三兄弟は力と知恵を振り絞って、オオカミを退治しようとします。
さてどうやって3匹のこぶたは、オオカミを退治したのでしょうか?
このお話、これから子どもたちが大人になっていく上で、
伝えたいことがいっぱい詰まっています。
何かとスピードを求められる世の中で、考える余地も与えられない世の中ですが、
回り道してもいいし、どんなに時間がかかってもいいから、
丁寧に人生を生きていって欲しい。
損なように思えることが、最後自分の身を守るかもしれないし。
そして困ったとき、一人では不可能に思えるようなことも、
周りの人と一緒に挑戦したら、ひょっとしたら乗り越えられることもあるかもしれないよ。
一人で生きていく力は、一人で何でも出来るようになることじゃなくて、
時には周りの人を巻き込みながら、個々の能力を発揮しながら、
互いに支えて、支えられて生きていく力のことなんじゃないかな?と。
大切な子どもに伝えたいメッセージがぎゅっと詰まった作品だと感じます。
【イギリス民話より。文:ロベルト・ピウミーニ 絵:ニコレッタ・コスタ
訳:たかはしたかこ 出版社:西村書店】