美しい切り絵の影絵芝居が観劇できる絵本。
帽子を探しているお母さんのもとに、お腹がパンパンに膨れ上がった男の子が、
『ママ、お腹が痛いよ!はやくお医者さんを呼んで。』と悲痛な叫び。
すぐにお医者さんを呼んで診察をしてもらうと、
膨れ上がったお腹の中から出て来てのは・・・・
青りんごがひとつ、ふたつ、つぎはボールまで。
もう終わりかと思いきや、
バースデーケーキがまるごと、大量のスパゲティーに、お茶はポットごと。
飼っているうさぎに、お母さんの探していた帽子、ブーツまで。
次から次へと奇想天外なものが出て来ます。
最後は自転車まで。男の子の小さな身体からは想像もできないような大きなものまで。
お医者さんが何か一つお腹から取り出すたびに、男の子のお腹がしぼんでいくのを、
影絵のシルエットで楽しみます。
全部取り出して、すっかり元気になった男の子。
あれ?お医者さんの帽子がなくなってしまったよ。
いったいどこに消えたのでしょう?
白黒の世界とカラフルなページの対比が、面白く、
美しい切り絵・影絵の世界から、私たちは次に何が出て来るのか、
想像するのが楽しい絵本です。
食べ物だけでなく、大きさまで、本当にスケールの大きな作品です。
男の子は時に信じられないようなことをやってのけてくれますが、
目が離せない、好奇心いっぱいの男の子に思わず苦笑いしてしまいます。
けっしてマネはしないでね・・・
影絵紙芝居はおうちでマネして、作ってみたいなと思いました。
切り絵でシルエットになっているので、細かな表情が見えない分、
想像力を働かせて、声色や、セリフのスピードなどを工夫するだけで、
もっともっと広がりを見せて、面白い世界が表現できる一冊だと思います。
【作・絵:レミイ・シャーリップバートン・サプリー 訳:つぼいいくみ
出版社:福音館書店】