ずっと気になっていた絵本。
表紙から、はみだすほどの大きな大きなトマト。
トマトってこんな顔していたのかな?なんて立ち止まりながら。
夏の太陽に負けないぐらい、真っ赤な顔をしているトマト。
でも、トマトだって夏はやっぱり暑い。
ミニトマトたちは地面を転がって、草むらを転がって、
近くの小川へダイブ。あぁ、冷たくて気持ちいい。
大きなトマトさんも地面に落ちた。
でも身体が重くてミニトマトのようには小川へ転がれない。
じりじりと照り付ける夏の太陽。トマトさんは我慢できずポロポロと泣き出した。
トマトさんの涙を見た虫たちや、トカゲがトマトさんの周りに集まり、
トマトさんを小川に連れていく大プロジェクトを計画実行。
トマトさんはみんなの力で、小川へ無事ちゃぽんと落ちた。
どんどん流れにのっていく。トマトさんが水の中に落ちた時の表情が、
全力で気持ちいいと叫んでいる。
どのページも画面からはみ出るダイナミックなトマトの豊かな表情に、
くぎ付けになってしまう。
こんなに人を引き付ける絵本は他にないかもしれない。
トマトさんと夏のある日のことを、一喜一憂しながら、
いつの間にか目が離せなくなってしまう。
夏のギラギラ太陽にも負けない、キャラクターが光る作品。
《著者紹介》
作:田中清代(たなかきよ)
1972年、神奈川県生まれ。多摩美術大学油画・版画専攻卒。在学中に絵本の制作を始める。絵本に『みずたまのチワワ』(「こどものとも年中向き」1997年8月号)、『みつこととかげ』(「こどものとも年中向き」1999年8月号)、『おいかけて』(「こどものとも年少版」2004年11月号)(以上福音館書店)、『おきにいり』(ひさかたチャイルド)、『おばけがこわいことこちゃん』(ビリケン出版)、『ねぇ、だっこして』(金の星社)、さし絵に『チイコのおとしもの』(ひくまの出版)『佐藤さとる幼年童話自選集』(ゴブリン書房)などがある。
※絵本より引用
【作:田中清代 出版社:福音館書店】