毎週ソフィアは、おじいちゃんとお年寄りのお手伝いをしています。
落ち葉をそうじしたり、代わりに買い物へ出かけたり、ペットの散歩をしたり、
家族やともだち、ご近所さんのために、出来る限りのことをします。
このまちをもっともっと良くしたいから。
そんなある日、おじいちゃんが、ゴミの山で怪我をしてしまいます。
ソフィアは次の朝、庭に看板をたてました。
ゴミ置き場を撤去して、みんなの公園を作ろうとスローガンを掲げました。
ご近所さんたちにも、どんな公園がいいか色んな意見を聞きに行きました。
でもどうやって公園をつくるのでしょう?
ソフィアのひとりの力では、難しいことに気が付き、途方にくれました。
でもソフィアは諦めません。
今度は市役所に行って、たくさんの大人に話しにいきましたが、
”こどもには、むりなのよ”と言われ、たらい回しになるばかり。
ソフィアは考えて、市役所の全員の大人を集めて、一生懸命プレゼンをしました。
ソフィアは特別な女の子ではありません。緊張して、身体ががくがく震えていました。
市長さんは、たくさんの市民が賛成してくれたら考えようと言ってくれ、
ソフィアはご近所さん、親戚、友人へ話にいきました。
たくさんの人がソフィアのアイデアに賛成してくれました。
ソフィアという小さな女の子のひとつの声が、波紋を広げ、
少しずつ大人や、周りの人の心を動かしていく。
決して、ソフィアが特別な人間だったわけではなく、問題を見つけ、
それを解決しようと考え、自分の中にあった、一歩を踏み出す勇気に気が付きました。
勇気はみんなひとりひとりが持っているもの。
自分が思っている以上に、勇敢で、大きな力を持っていることを忘れないでと、
励まし、勇気を与えてくれる一冊です。
子どもだから、女性だから、もう歳だから、と探せば諦める理由はたくさん転がっている。
よりよい未来は、いつも私たちの中に存在するのかもしれません。
アイデアが出ないときには、また良いアイデアを出す人に賛成する、応援するという
参加者としてのリーダーシップもひとつ。
ひとりひとりの力が合わさって、大きな力となり、はじめて小さな願いは叶うのでしょう。
《著者紹介》
雨イカ・イリノイ州生まれ。シカゴ在住。子どものころは畑や森で冒険するのが大好きだった。大学で生物学とコンピュータサイエンスを学び、コンピューターのソフトウエア会社に勤務。その後、子どもの本の作家となり、多数のヒット作を生み出している。
デイヴィッド・ロバーツとコンビを組んだ作品に『天才こども建築家、世界を救う』(エクスナレッジ)、『しっぱいなんかこわくない!』『せかいはふしぎでできている!』(いずれも絵本塾出版)があり、全世界で300万部を超える大人気シリーズとなっている。
絵:デイヴィッド・ロバーツ
1970年イギリス・リヴァプール生まれ。ロンドン在住。大学卒業後、ファッション・イラストレーターとして働く。1998年から児童書を手がけはじめ、次々に作品を発表、高く評価されている。日本で紹介されている作品に『モンタギューおじさんの怖い話』(作クリス・プリーストリー 理論社)、『10の奇妙な話』(作 ミック・ジャクソン 東京創元社)など。
訳:かとうりつこ
東京の下町に生まれる。翻訳家。出版社で編集者として数多くの翻訳書を手がけてきた。主な翻訳作品に『ゴーストハンター ほんとうにあった幽霊狩り事件簿』(作 ジェイソン・ハウンズ&メム・フォックス いずれも主婦の友社)『そーっとそーっとひらいてみよう』(WAVE出版)、『しっぱいなんかこわくない!』『せかいはふしぎでできている!』(いずれも絵本塾出版)など。
※絵本より引用
【作:アンドレア・ベイティー 絵:デイヴィッド・ロバーツ 訳:かとうりつこ
出版社:絵本塾出版】