宮沢賢治の没後に発見された私物の黒い手帖に、メモのように書かれていた詩。
学校の教科書で何度も読んだ詩。
人としてこうありたいという信念理想が描かれている。
改めて読んでみると、現代の私たちは、宮沢賢治の理想とする人間像から大いに
かけ離れた生活を送っていることに、改めて気づかされる。
絵本になった詩の世界は、より情緒深く、瑞々しくもあり、
詩の喜怒哀楽がより一層豊かに表現されている。
絵本とはいえ、文章にはカタカナも多く、昔の言葉遣いも多いので、
ちゃんと子供に内容が伝わるのかな?と心配しましたが、
子どもがこの詩集を読み終えたときにぽつり。
『ぼくも、こういうありたいと思う。』
宮沢賢治の遺したメッセージは、絵本になって、しっかりと小さな子どもの心にも、
届いていました。
この詩集を教科書で読んだときには、思春期の頃で、
多感な時期に、素直に言葉が入ってこなかったように記憶していますが、
大人になって読んでみても、生きる上での大切な哲学だと思います。
人生の坂道にさしかかったときに、勇気と元気を届けてくれる絵本です。
《著者紹介》
詩:宮沢賢治(みやざわけんじ)1896~1933年
詩人、童話作家。生前に刊行されたのは『春と修羅』(詩集)と『注文の多い料理店』(童話集)のみであり、ほぼ無名に近い存在であった。没後、詩人の草野心平(1903~1988)らに見いだされ、多くの作品群が世に知られることとなった。
「雨ニモマケズ」は、没後発見された賢治の私物の黒い手帖に、メモのように記されており、賢治作品の代表作の一つとされている。
絵:松成真理子(まつなりまりこ)
絵本作家、イラストレーター。『まいごのどんぐり』(童心社)で児童文芸新人賞受賞。『たなばたまつり』(講談社)、『じいじのさくら山』(白泉社)、『ふでばこのなかのキルル』(白泉社)など、あたたかなぬくもりにあふれるオリジナル作品も、多数発表している。
※絵本より引用