★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

えすがたにょうぼう

 

鳥取に伝わる昔話。

 

むかし、山の村に、若いきこりがおり、いい女房をもらったとたん、

 

働きに行かず、ずっと家にいるようになったそう。

 

きこりは、あまりにいい女房だから、ずっと側にいたいと言い出す。

 

女房は、絵描きに自分の姿を描いてもらことを思い付きました。

 

旦那に自分の絵姿を持たせ、仕事に行かせました。

 

旦那は久しぶりに昼過ぎまでまじめに働き、

 

ずっと女房の顔を見ていないなと、おもろに絵の女房を取り出し見ていると、

 

その大切な絵を、山の風がさらって持って行ってしまいました。

 

一瞬の出来事で、どこを探しても絵は見つからず、

 

落ち込んで家に帰ってくると、女房はまた描いてもらえば大丈夫と言いました。

 

そしてしばらくして、絵は、お城の門前に落ち、門番が広い、あまりの美人に、

 

大騒ぎ。

 

お殿様もその騒ぎを聞きつけ、絵を見ると、すぐにこのモデルになった女性を探すように

 

家来に命令します。

 

そして何日かして城の者が、きこりの女房を連れ去っていき、女房はお殿様の奥方に

 

なりました。3年の月日が経ち、いつまでも忘れなれないきこりのところに、

 

お城でお盆のおどりをすることを聞き、きこりはお城へ忍び込みます。

 

そして自分がお殿様と、奥方(女房)のために踊ると、奥方がにっこり笑顔になります。

 

お殿様はこの3年間、奥方が笑ったところを見たことありませんでした。

 

きこりの格好をしている男を見ては笑う奥方を見て、

 

お殿様は、自分の袴ときこりの衣装を取り換えることにしました。

 

そしてきこりに成りきって踊るも、まったく奥方は笑いません。

 

そのうちに踊りの披露の時間は終わる、踊っていた人は城の外に追い出されました。

 

殿様の格好をしているきこりは中に残り、きこりの格好をしているお殿様は誰にも気づかれず、

 

追い出されてしまいましたというお話。

 

何とも少し滑稽なお話です。お殿様が着るものが変わっただけで、

 

家来も門番も見分けがつかないのですから。

 

人間の外見に惑わされてしまう浅はかなところを、揶揄されているようです。

 

そして逆に絵姿女房は、きこりと暮らしていたときによりも、

 

はるかに良い衣装を着て、良いものを食べて、良い地位についているにも関わらず、

 

幸せそうな顔を浮かべることなく3年間過ごし、

 

きこりと再会したときに幸せそうな笑顔を浮かべ、3年という月日の間、

 

忘れることなく、互いを想い合った夫婦の絆が描かれています。

 

色調も日本の色を使われていて、美しい日本画にうっとりします。

 

【再話:稲田和子 画:畠中光享 出版社:福音館書店

 

 


こどものとも 2009/3月号 えすがたにょうぼう