★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

赤いくつ

 

アンデルセン童話の赤いくつ。

 

お母さんを亡くして、ひとりぼっちになったカーレン。

 

靴を買うお金もなく、夏ははだし、冬は木靴をはいていた。

 

そんなカーレンを呼び寄せた親切なおばあさんは、

 

教会に行くために、

 

カーレンに新しいドレスを買い、新しい赤い靴を買ってあげました。

 

おばあさんは目が悪かったので、教会に不釣り合いなダンス用の靴だとわかりませんでした。

 

カーレンは赤い靴をはいて教会に行き、教会からの帰り道、

 

なんだかウキウキしてきて、踊り出しました。

 

いちど踊りだしたら、止まりません

 

靴が身体にくっついて離れないのです。

 

おばあさんはあの子を止めてと叫び、カーレンの足から赤いくつを脱がせると、

 

もう履かないようにと言って棚の奥へしまいました。

 

おばあさんが重い病気に罹って、カーレンにそばにいて欲しいときにも、

 

カーレンはこっそり赤い靴を取り出すと、外へ出かけ踊り出しました。

 

その間におばあさんは亡くなってしまいました。

 

おばあさんの最期に寄り添えなかった自分を責め、カーレンは自分の足を切りました。

 

カーレンは本当に大切なものが何かを、失ってはじめて気がつきました。

 

赤い靴の魅力に取りつかれ、心も体も、大切な人も失います。

 

とても悲しいお話なのですが、最後天使に神様のところへ導かれ、

 

おばあさんと一緒に光の中を歩いている姿に救われる思いがします。

 

途中怖いシーンもありますが、カーレンがマリオネットで表現されていることで、

 

おとぎばなしとして読める作品になっていると思います。

 

ピカピカキラキラと輝くものに、目を奪われますが、

 

本当にいいもの、本当に大切にすべきものは、心の目で見て、

 

しっかり握りしめていないと、簡単に消え去ってしまう儚いものなのかもしれません。

 

色々な解釈ができる作品になっており、真理を見失いやすい現代に、

 

ぴったりな作品だと思います☆

 

《著者紹介》

文:岩崎京子(いわさききょうこ)

1922年東京に生まれる。短編「サギ」で日本児童文学者協会新人賞、『鯉のいる村』(新日本出版社)で野間児童文芸賞芸術選奨文部大臣賞、『花咲か』(偕成社)で

日本児童文学者協会賞を受賞。絵本に『ききみずきん』(ポプラ社)、『十二支のはじまり』(教育画劇)、『けいたのボタン』(にっけん教育出版社)、『七つの星』(女子パウロ会)、そのほか『お父さんの足音』(ポプラ社)など作品多数。

 

絵:降矢なな(ふりやなな

1961年東京に生まれる。スロヴァキア共和国ブラチスラヴァ美術大学・版画科卒業。

絵本に『めっきらもっきら どおん どん』『ちょろりんの すてきなセーター』(ともに福音館書店)、「おれたち、ともだち!」シリーズ(偕成社)など。挿絵に『やまんば山のモッコたち』(福音館書店)、「こぎつねキッペ」シリーズ(ポプラ社)など。岩崎京子氏とのコンビは『けいたのボタン』に続き2冊目。

※絵本より引用

 

【文:岩崎京子 絵:降矢なな 出版社:女子パウロ

 

 


赤いくつ

 

 

 

 

ミシュカ

 

クリスマスの日に、わがままで乱暴な女の子の家を、

 

とうとう我慢できなくなったくまのぬいぐるみのミシュカは、家出しました。

 

雪の上を自分の好きなように歩き、森の中でハチミツを食べ、

 

一人の自由な時間を楽しんでいるミシュカ。

 

森の中でひとやすみ、ウトウトしていると、二羽の鳥が、

 

クリスマスの日は何か人の役に立つこと、いい事をするといいと教えてくれる。

 

そんな時に、ミシュカの前をサンタクロースをのせたそりが通り、

 

クリスマスのプレゼントを配るお手伝いをすることになる。

 

ミシュカは自分ができる、何か役に立つことはないだろうか?と考え続けていた。

 

最後の家は、貧乏で病気の男の子がいるおうちだった。

 

家の中の木靴になにもプレゼントがなかったらがっかりするかもしれないと、

 

自分自身をプレゼントすることを思いついたミシュカ。

 

玩具を大事にすることの大切さ、そしてミシュカを通して、

 

自分の生きる場所を、自分で選んで探す勇気と、

 

自分の持っているものを、人に捧げる優しさ、

 

人の役に立つことの喜びを教えてくれる一冊です(*^-^*)

 

クリスマスは幸せをもらう日でもあると同時に、また誰かを幸せにする日、

 

誰かの幸せを願う日でもあること。

 

新しいものを迎える夜に(プレゼントなど)、今までそばにあったものに感謝し、

 

大切にする心を育ててくれる一冊です(*^-^*)

 

クリスマスの限らず、身の回りの人やモノを大切にし、

 

いつも『じぶんにできる いちばん いいこと』を子どもと一緒に見つけていきたいものです。

 

【文:マリー・コルモン 絵:フョードル・ロジャンコフスキー 訳:みつじまちこ

 出版社:新教出版社

 

 


ミシュカ

 

 

 

 

おねがいだからなかよくしてね

 

 

子どもの小さな心の叫び、願いが絵本になっています。

 

大人が読むと、身につまされる絵本で、自分の子ども時代に戻ると、

 

親が喧嘩しているのを泣きながら止めた記憶が蘇ってきました。

 

うちの家族は喧嘩するほど仲がいい家族で、よくぶつかったりもしたけれど、

 

後に引きずらず、すぐに仲直りしていましたが、

 

両親の喧嘩のほんの一瞬の時間さえも、

 

布団にもぐって不安で耳を塞いでいた覚えがあります。

 

幼心に傷ついていました。

 

でも両親が仲が良くて、ニコニコと笑っていてくれるだけで、

 

子どもはのびのびと、自分らしく、どんな困難にも立ち向かえるし、

 

新しいことにも挑戦していける勇気がわいてきます。

 

自分という存在をまるまる肯定してもらえているような、

 

家庭が安全基地となって、初めて外の世界へと繰り出せるのです。

 

友達と仲良く関係を築けるのも、両親、家族が仲がいいからこそ、

 

相手を信頼することに繋がるのだなと絵本を読んでいて、

 

改めて思いました(*^-^*)

 

子どもの社会の第一歩である家族。その小さな社会から幸せにしていきたいと思います。

 

多くの子ども達が幸せでありますように☆彡

 

【文:キャスリン・ホワイト 絵:クリフ・ライト 訳:山口文生 出版社:評論社】

 

 


おねがいだからなかよくしてね (児童図書館・絵本の部屋)

アローハンと羊

 

モンゴルの遊牧民の暮らしを描いた絵本。

 

アローハンという名の少女と、羊のホンゴルとの絆の物語。

 

子どもの時から一緒に育ち家族同然に暮らしてきたふたり。

 

四季の移り変わりとともに、水を求め、牧草を求め、

 

家畜とともに大草原を移動しながら生きていく遊牧民の暮らし。

 

風が強く吹く日も、雨の日も、厳しい冬も、命を守りながら、育てながら、

 

命を繋ぎながら、遊牧民にとっての財産は命なのだ。

 

そこに生きる家族、そして馬や羊など家畜たち、すべての生き物、命が、

 

遊牧民にとって一番大切な財産となる。

 

厳しい気候で、亡くてしてしまった命もたくさんある。

 

生きていくためには、大切に育ててきた家畜の乳を飲み、肉を食べないわけにはいきません。

 

でも特に深い絆で結ばれた、殺して食べてしまうことができない家畜には、

 

神様や仏さまにお供えするという名目で殺さない方法を考え、

 

印をつけるそうです。

 

深い悲しみも、壮大な大地に吹く風とともに、青い空に浮かぶ雲とともに、

 

少しずつ時間の経過とともに癒されていく。

 

厳しい自然の中で生きていく、たくましいモンゴルの人々。

 

墨汁で表現されているページも多く、色調はモノトーンで落ち着いていますが、

 

強い風が吹く抜ける情景や、馬が力強く草原を走り抜ける姿が、

 

墨汁によって映像のように見えてきます。

 

時々青い空が広がるページは、モンゴルの壮大な自然を感じることができ、

 

モンゴルの大地の真ん中に立ったようなスケールの大きさを感じる作品です。

 

《著者紹介》

作:興安(ヒンガン)

1973年、内モンゴルの都市フフホトに生まれる。1992年、内モンゴル師範大学美術科に入学。大学では油絵、大学院では水墨画を専攻。大学院卒業後、草原の町の小、中学校で遊牧民の子どもたちに美術を教える。日本画に魅了され、2001年来日。2002年、東京学芸大学の研究生として日本画研究室に入り、2004年には、同大学院に進む。2006年、

教育学研究科美術教育専攻課程を修了。『子どもに語る モンゴルの昔話』(こぐま社)では扉絵を担当した。今作品が初めての絵本となる。高校時代に作った詩を元に、この物語の構想が生まれ、水墨画の手法で絵が描かれた。

 

文・解説:蓮見治雄(はすみはるお)

1969年、東京外国語大学院アジア第一言語修士課程修了。元・東京外国語大学モンゴル

語科主任教授。モンゴルの言語、文化、口承文芸など多岐にわたって造詣が深く、この絵本では本文、解説文の他、全体にわたって監修的な役割も果たしている。著書に『チンギス・ハーンの伝説 モンゴル民話研究』(開明書院)、『子どもに語る モンゴルの昔話』(こぐま社)などの他、モンゴル語で執筆、出版された著書、論文も多数ある。「日本モンゴル学会」理事。NPO法人「みんなで創る東北アジアの会(TAK)」代表。

※絵本より引用

【作:興安 文・解説:蓮見治雄 出版社:こぐま社】

 

 


アローハンと羊―モンゴルの雲の物語

 

 

 

 

 

 

 

いっすんぼうし

 

松谷みよ子さんと太田大八さんが手がける一寸法師

 

私も子どもと一緒に初読みでした。一寸法師のお話もこれが初めて。

 

一寸という大きさがわからない子どもでしたが、絵を見て、

 

小さな人だ~?赤ちゃんなの?赤ちゃんより小さいね~と

 

不思議そうに見ていました。

 

子どもが欲しかったおじいさんとおばあさんは、神様から小さな身体をした

 

男の子を授かりました。花の蜜で育て、大きくなるとごはんを一粒ずつ与えました。

 

あまりに小さいので、同じ年頃の子からいじめられていましたが、

 

ある日一寸法師は、もっと広い世界を知りたいと旅に出ることを決意しました。

 

針を剣替わりに持ち、おわんに乗って川を下り、箸でお椀の船をこぎます。

 

やがて城に着くと、お殿様に会い、お殿様の手のひらで舞を披露し、

 

お殿様に気に入られ、お姫様のお付きになることに。

 

ある日鬼に襲われたお姫様を、針の剣で鬼を退治し守り、

 

鬼の置いていったこづちで、大きくなり、

 

お姫様の婿になり幸せに暮らしましたというお話。

 

日本の昔話にはよく鬼が出てきて、こづちで色んな願いを叶えてくれる

 

内容のお話が伝わっていて、いっすんぼうしの身体がみるみる大きくなっていく姿も、

 

迫力のある絵で、表現されています!

 

一寸法師は人よりも、身体が極端に小さいにも関わらず、

 

物怖じせず、小さい身体をいかしながら、あらゆる工夫をして、

 

色んな困難に立ち向かう勇敢な姿に、勇気をもらえる一冊です!

 

小さい身体ながら、大きな視野を持っていた一寸法師

 

広い世界へ、身一つで飛び込んでいく力強い姿が印象的です(*^-^*)

 

昔話は、たくさんの人が原作を元に絵を描いたり、文章で表現され、

 

少しずつ作者によって解釈や表現が違うので、

 

また時間を置いて、他の作者が描く一寸法師も読んでみたいと思います☆彡

 

【作:松谷みよ子 絵:太田大八 出版社:にっけん教育出版社】

 

 

 


いっすんぼうし (日本むかしばなし絵本)

火をぬすんだウサギ

 

アルゼンチンのウィチーの人々に伝わるお話です。

 

ウィチーの人々が住むグランチャコは乾燥したサバンナ気候で、狩猟したり、

 

川で魚を捕ったり、木の実を採取しながら、自然と調和しながら生きてきた、

 

民族の歴史がお話のベースになっています。

 

大切な火を独り占めするジャガーに、ほかの動物たちは、火をわけてもらおうと

 

かけあいますが、ジャガーは分け合おうとしません。

 

そこで火を盗もうとモグラに似たツコツコが、トンネルを掘って、ジャガーの近くへ

 

行こうと試みますが、耳の良いジャガーに気がつかれ失敗。

 

今度はウサギが魚をおみやげにジャガーの火を盗もうとすると、

 

その火だねが山火事を起こし、怪我の功名で、みんなに火がいきわたることになりました。

 

そして木の内側に火が入りこみ、

 

木をこすればいつでも火を起こせるようになりましたというお話。

 

厳しい自然の中で、移り変わる時間と共に、生きていくために知恵を絞り、

 

みんなで助け合いながら、力強く生きてきたウィチーの人々の生き様が、

 

絵本に描かれています(*^-^*)

 

アルゼンチンのグランチェコに生息する珍しい動物が登場するところも、

 

愉しみの一つです!

 

《著者紹介》

再話:宇野和美

1960年生まれ。東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、出版社勤務を経て、スペイン語の翻訳に携わる。スペイン語圏各国の絵本、児童文学の紹介に力を入れている。主な訳書に『アルマの名前がないわけ』(ゴブリン書房)、『見知らぬ友』(福音館書店)、昔話の再話に『まめつぶこぞうパトゥフェ』(BL出版)がある。ミランフ洋書店店主。

 

絵:パブロ・ピシック

1978年ブエノスアイレス(アルゼンチン)生まれ。イラスト、グラフィックデザイン、絵画、彫刻などの分野で活躍する。幼いころから、ひまさえあれば絵を描いてきた。アルファベット絵本”Una super sandia"(「スーパースイカ」2014)ノンフィクション絵本

”Quimica hastaen la sopa"(「スープの中まで化学」2011)など、25点以上の絵本や児童書を手がけている。

※絵本より引用

【再話:宇野和美 絵:パブロ・ピシック 出版:玉川大学出版部】

 

 


火をぬすんだウサギ ―アルゼンチン ウィチーのおはなし― (世界のむかしのおはなし)

 

ひとまねこざる

 

動物園に住んでいるこざるのジョージは何でも知りたがりで、好奇心旺盛。

 

動物園の外の世界がどんなふうなのか見て見たくて、

 

こっそり飼育員さんの目を盗んで、飼育員さんのポケットから鍵を盗むと、

 

とうとう動物園の外の世界へ冒険にでたジョージ。

 

人間がしていることに何でも興味を持ってまねをするジョージ。

 

レストランの厨房に忍び込んで、皿洗いをしたり、

 

ビルの外の窓ガラスをそうじしたり、ペンキ塗りをしたり、

 

何でも興味を持ったことはやってみたくて仕方がないジョージ。

 

そのうちに、ジョージはいつの間にか映画俳優になっていたり、

 

ジョージのやることなすことは、いたずらに見えるようなことも、

 

ジョージにとっては、好奇心からくるもの。

 

小さな子どもを見ているようで、愛らしい。

 

おさるさんだけあって、何をしても器用にこなしていてうらやましい限り。

 

御皿洗いも4つの手!? で同時に2枚洗うことができるし、

 

ビルの窓ふきはアフリカのジャングルの木から木から移動していたジョージにとって、

 

得意中の得意技。

 

いたずらで注目をあびたジョージは、

 

最後には大好きな黄色い帽子のおじさんとも無事再会することができ、

 

とっても幸せそうなジョージ。

 

小さな子供の無邪気な心や、何でもまねをして一つ一つ覚えていく成長の過程だったり、

 

キラキラした探求心・好奇心が、

 

こざるのジョージを通してコミカルに描かれている一冊です!

 

子どもは最後に、これってテレビでやっている『おさるのジョージじゃない!?』と

 

アニメが絵本になっていることに、新鮮な驚きがあったようです。

 

【文・絵:H. A.レイ 訳:光吉夏弥 出版社:岩波書店

 

 


ひとまねこざる (岩波の子どもの本)