★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

すばらしい季節 *タシャ・チューダー

まず作者のタシャ・チューダーを私はテレビで始め知りました。

 

電気もガスも、水道も通っていないところで、原始的な暮らしを

 

しています。文明に頼らず、一人で生きていました。

 

それがものずごく衝撃を受けました。

 

テレビも見ないし、電気はないので、太陽の光と、夜はローソクの明かりで暮らしていて、

 

食事もすべて手作りはもちろんのこと、子供たちが幼いころは、

 

子どもの服から、絵本、おもちゃの人形まですべて手作りしていました。

 

ものすごく才能とバイタリティーにあふれ、持っていない暮らしなのに、

 

とても豊かなくらし、豊かな人生を送っているように見え、

 

到底マネはできないけど、憧れました。テレビにくぎ付けになりました。

 

そんな自然の中で暮らしてきたタシャが描く絵本は、五感をくすぐります。

 

私は、地方暮らしなので、車がどこに行くにも欠かせない、車生活。

 

独身時代、仕事をフルでしていた時には、

 

朝早くに車に乗り込み、帰る頃には、外はすでに真っ暗。

 

外に出る仕事ではなかったので、ビルの中、自然の風を感じることなく1日が終わり、

 

雨が降っているときも自分で傘をさして歩き、雨音を聞くという時間がなく、

 

いつの間にか季節が変わっているといった状況でした。

 

今考えてみると、すごく勿体ないですよね。

 

日本には春夏秋冬があり、

 

外をお散歩していると、豊かな季節の移ろいを日々感じることができます。

 

子どもが生まれてから、毎日公園にお散歩する生活になって、

 

春から夏へ、夏から秋へ、秋から冬へ、そしてまた春がやってくる。

 

それを肌で、目で、鼻で、耳で、体の五感を使って感じることが出来ました。

 

日差しや雲の形も、風も季節によって全く表情が異なり、

 

子どものおかけで、自然の恵みを堪能させてもらったなと感じます。

 

本当にかけがえのない時間でした。

 

春に桜を見ると、あと何回一緒に見られるかな? 時折、切なくなってみたり。


季節の移ろいも、子供の成長も本当にあっという間です。

 

最近では、電車に乗っている人も、バス停でバスを待つ人も、

 

散歩をしている人も、スマホタブレットの画面を見ていて、

 

少し寂しく思います。

 

こんなに季節は刻々と変化しているのに、

 

空を見上げないと、虹に気づけないのに。。と。

 

それだけ、みんな忙しい時間を、生きているのですよね。

 

今日紹介するターシャテューダ作の『すばらしい季節』は、

 

外国が舞台なので、日本とは季節が少し異なりますが、

 

1年間の季節の移ろいが丁寧に描かれています。

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すばらしい季節

これは子供と一緒に読める、読み聞かせしたい絵本でもあるのですが、

 

何より、現代の大人たちにぜひ読んで一息ついてほしい絵本です。

 

絵もやわらかいタッチでとても美しいのですが、

 

絵本の強いメッセージ性にも、心が突き動かされるものを感じます。

 

春にはシロツメクサを摘んで、花冠を作ったこと。

 

チューリップやスイセンの花の香り、

 

夏には蝉とりをしたこと、ビワの木に登って、ビワの実を食べたこと。

 

秋には綺麗に色づいた落ち葉を拾ったこと、どんぐりを夢中で集めたこと、

 

冬には雪を食べてみたこと。

 

子どものころの懐かしい気持ちが蘇ります。

 

季節は私たちの知らないところで刻々と変化し続けています。

 

 

《著者紹介》

タシャ・チューダー(1915-2008)

1915年に米国マサチューセッツ州ボストンに生まれ、幼年時代コネティカット

農場で過ごす。1938年に絵本作家としてデビューして以来、多数の作品を発表してきて、ターシャテューダーといえば知らない人はいないぐらい大きな存在で、そのあまりに長い作家生活のために、まるで歴史上の人物を思われてきたほど。

まるで隠者かなにかのように文明から離れたところに身を置いて暮らしてきたので、

その実際の姿はあまり知られてこなかった。

ところが、時代が必要としたということなのか、彼女についての本や、テレビ番組などが次々につくられて、昔の本も復刊され、現代に生きるわれわれが忘れてきてしまったことを思い出させ、立ち止まって考えることをさせる役目を果たし、

2008年に世界中から惜しまれて世をさります。

※絵本より引用

【作・絵:タシャ・チューダー 訳:末盛千枝子 出版社:すえもりブックス】

 


すばらしい季節 (末盛千枝子ブックス)