詩人の谷川俊太郎さんとイラストレーターのノリタケさんの共作。
この絵本はたくさんの大人、子どもに読んでもらいたい絵本です。
作品のタイトルのとおり、平和と戦争について描かれています。
平和だから出来ること、平和だから当たり前にある日常、
同じ父でも、平和なときの父と、戦争のときの父は違う人。
何かを守ろうとしているのは同じなのに、でも違う。
平和な夜と、戦争の夜。
二つを対比していくと、大きくかけ離れた日常がそこにある。
黒と白で構成されるシンプルなイラストはまるで、闇と光のようだ。
はじめの方は、平和と戦争は全く別の世界、かけ離れた世界のように感じる。
2つの世界として、視界にとらえていくことになる。
しかし、ページ後半がとても印象に残った。
敵も味方も同じ顔をしていることに、子どもが、読み聞かせをしていて気が付いた。
そう敵も味方も、何も違わない。同じ人間なのだと。
地球にいる生物は皆平等で、等しい存在なのだと。
味方の朝も、敵の朝も、等しく訪れる。
太陽は誰に対しても、いつだって平等に光を注いでくれる。
自然も何かを選ぶのではなく、区別するでもなく、いつもそこにある。
敵の赤ちゃんも、味方の赤ちゃんも、どちらの命も同じように重い。
守らなくてはならない、かけがえのない命だ。
戦争に勝っても、負けても、私ちは何かを失うように思う。
戦争が終わったあとも、以前のようには元通りにはならない。
失ったものは、失ったまま。
私も戦争を知らない世代だ。
子どもと平和について考えるきっかけをくれる、シンプルでわかりやすく、
とても深い絵本です★
学校や幼稚園、保育園などでも、活用して欲しい一冊。
《著者紹介》
文:谷川俊太郎(たにかわしゅんたろう)
1931年東京生まれ。詩人。21歳で第一詩集『二十億光年の孤独』を刊行。
以来数々の賞を受賞し、幅広く活躍する日本を代表する詩人。絵本『わらし』(長新太・絵)『あな』(和田誠・絵/共に福音館書店)、『もこもこもこ』(元永定正・絵/文研出版)、翻訳絵本『スイミー』(レオ・レオニ/好学社)など、長年にわたり読み継がれている。近著に『バウムクーヘン』(ナナロク社)などがある。
絵:Noritake(のりたけ)
1978年兵庫県生まれ。イラストレーター。モノクロームのドローイングを中心に、
広告、書籍、雑誌、ファッション、プロダクト制作など国内外で活躍。
デザイン、ディレクション、作家活動もおこなう。近著に『秘密基地の作り方』(尾形孝弘・文/飛鳥新社)、『えいごのもと』(関谷英里子・文/NHK出版)、『MORE THAN YESTERDAY』(岡本仁・文/私家版)などがある。
※絵本より引用
【文:たにかわしゅんたろう 絵:Noritake 出版社:ブロンズ新社】