数字のちいさな1。
いつもひとりぼっちで、仲間をさがしている。
でもどの数字と一緒にいようとしても、断られてしまう。
どの数字も1より、自分の方が数が大きくて優れているとばかりに、
1を相手にしない。
ちいさな1は、足して、他の数字になろうとした。
でも上手くいかなかった。
もうこのまま独りぼっちなのかなぁ~と落ち込んでいると、
そこに、まっかなわっかがやってきて、
僕の隣にならんでごらん?と言った。
0と1が並んで、10になった。
小さな1も、ありのままの自分で、0の横に並び10になることができた。
2人は一緒に遊んだ。
0もまた、1がいることで、ゼロ「無」ではなくなった。
シンプルなデザインとおしゃれな装幀。数字たちが主役の絵本だけれど、
無機質な数字なのに、とてもポップに、いろんな数字の表情豊かに描かれていて、
面白い絵本です♪
ちいさな1は、自分というありのままの存在で、0と一緒になり、
存在価値を見出しました。そしてお互いがありのままでいられ、
それぞれを引き立てることができる。支え合うことができる唯一無二の存在に。
谷川俊太郎さんの訳は、当たり前にあるものが、新しい価値を見出し、
それでいて、ストンと心の中に違和感なく納まっていくから不思議。
新しい視点は数字で書き表せないほど、無限にあるのかもしれない。
奥行きを感じさせる絵本です(*^^)v
《著者紹介》
作:アン・ランド
建築家として著名なファン・デル・ローエの大学で学ぶ。何冊もの子どもの本も書き、彼女の想像性豊かで遊び心のある文章は、多くの子どもたちを魅了してきた。
作:ポール・ランド
1914年、ニューヨークに生まれる。23歳で雑誌「アパレル・アーツ」「エスクァイア」のアートディレクターに抜擢される。その後13年にわたりニューヨークの広告会社のクリエイティブディレクターを務める。1954年アメリカのアート・ディレクター・ベスト・テンの一人に選ばれる。1956年よりIBM、他のコンサルタント、1958年よりイェール大学美術学部で強靭をとり、現在はグラフィックデザインの名誉教授を務める。デザイン作品、著書、雑誌に発表した論文、実地指導を通して、アメリカ及び世界のタイポグラフィー・デザインの傾向に多大な影響を与える。グラフィックデザインの各分野で数多くの輝かしい賞を贈られているだけでなく、英国芸術学士院、ロンドンの王室工業デザイナーの称号も持ち、アメリカ、ヨーロッパ、日本を初め世界中の美術館に作品が永久保存されている。
訳:谷川俊太郎
詩人。1931年東京に生まれる。1952年に『二十億光年の孤独』を発表。以後『夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった』『定義』『魂のいちばんおいしいところ』『女に』など多くの詩集がある。マザーグースの翻訳他、『ことばあそびうた』『みみをすます』『はだか』『ふじさんとおひさま』などの詩集、また絵本の翻訳、テキストなど、子どもの世界と関わる作品の数多い。
※絵本より引用
【作:アン・ランド&ポール・ランド 訳:谷川俊太郎 出版社:ほるぷ出版】