★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

イソップのおはなし

 

子どものに読み聞かせしようと選んだイソップのおはなし。

 

作者のバーバラ・マクリントックが選ぶ9話です!

 

『キツネとカラス』『キツネとツル』『町のネズミといなかのネズミ』

 

『オオカミとツル』『キツネとネコ』『オオカミと子ヒツジ』『カラスとクジャク

 

『キツネとブドウ』『オオカミと犬』からなるお話です!

 

知らないお話も多くあり、イソップのお話はまだまだ読んでいない作品がたくさん

 

あるのだと驚きました!

 

どのお話もイソップらしい、ブラックユーモアで人生の教訓を伝えてくれます。

 

子どもに読み聞かせする際には、ちょっとまだ話の内容が難しく、

 

お話の伝えたい意図や、想い、教訓を読んだ後に、

 

説明しないといけないものが多いのですが、この絵本は、絵本の登場人物が、

 

最後にきちんと教訓をわかりやすく話してくれるので、子どもの読み聞かせにも

 

非常に分かりやすい絵本だと思います(*^-^*)

 

クラシックなヨーロッパ調の服に身を包んだ動物たちが、表情豊かに、

 

寓話の面白さをそれぞれに表現しています☆

 

最後は劇場で劇をみていたかのように、舞台挨拶が行われていて、

 

そこにもクスリと笑える意外性があります。読者を最後まで飽きさせない絵本です。

 

《著者紹介》

作:バーバラ・マクリントック

米国ニュージャージー州生まれ。19歳で絵本作家を志し、モーリス・センダックのすすめでニューヨークに移る。主な作品に、『ないしょのおともだち』『どろんこのおともだち』『小さなミンディの大かつやく』(以上、ほるぷ出版)、『シモンのおとしもの』(あすなろ書房)など。

 

訳:福本友美子

公共図書館に勤務した経験をいかして、翻訳、評論など幅広く活躍。「おさるのジョージ」シリーズ、『ヌードル』『りこうすぎた王子』(以上、岩波書店)、『としょかんライオン』(岩崎書店)など、訳書多数。バーバラ・マクリントックの絵本の翻訳は本書で8作目になる。

※絵本より引用

【作:バーバラ・マクリントック 訳:福本友美子 出版社:岩波書店

 

 

 


イソップのおはなし

 

いろとりどり

 

毎日何も起こらないと退屈していたカラスたち。

 

そこへ見たこともないような、色とりどりの鳥が目も前に現れた。

 

カラスたちは物珍しそうに、カラフルな鳥の周りを囲んだ。

 

元気がないカラスたちに、いろとりどりは、

 

幸せに理由なんてないさ!と一緒に歌って踊ろう!と提案します。

 

カラスたちは初めはなんで幸せにならないといけないのか?

 

歌うっていっても、カァーとしか鳴けないし、踊り方もわからないと

 

口々に漏らします。

 

なんだか不安そうなカラスたちを前に、いろとりどりは、

 

カラフルな羽を広げて、歌いだす、踊り出す。

 

クルカァー、クルカァー、踊るカァー、歌うカァーと陽気に歌い出し、

 

踊り出す。

 

しだいにカラスたちも、楽しい気持ちになってきて、ステップを踏み、

 

クルカァークルカァー、前からクルカァー、後ろからクルカァーと歌い出す。

 

いろとりどりはカラスたちに少しずつ自分のカラフルな羽をプレゼントし、

 

一緒に楽しく踊りました。

 

すると、カラスたちの目は輝きだし、生きる喜び、楽しみに溢れます。

 

カラスたちはいろとりどりに『君のおかげだ!』とお礼を言いました。

 

すると、ボクのおかげなんかじゃないよ!こうしたのはキミたち自身だよ。

 

幸せになることに理由なんていらないんだ。と言って自分の島に帰っていきました。

 

何かが、誰かが、幸せにしてくれるのではなく、

 

幸せは常に自分の中にあるもの。

 

愛もだれかがくれるものではない。

 

いつも自分の内側から溢れて来るもの。

 

だから枯れることはない。

 

そこに気が付くことが出来たら、私たちはいつも幸せでいられるのかもしれません。

 

色とりどりの人生を、自分色で生きていこうというメッセージが込められています☆彡

 

《著者紹介》

作:マーカス・フィスター

1960年、スイスのベルンに生まれる。高校卒業後、ベルンの美術工芸学校の基礎科に入学。その後、グラフィック・デザイナーとして1981年から1983年までチューリッヒで働く。カナダ・アメリカ・メキシコを旅行ののち、帰国後はフリーランスのグラフィック・デザイナー、イラストレーターとして活躍している。おもな作品に「ペンギンビート」シリーズ、「うさぎのホッパー」シリーズ、「にじいろのさかな」シリーズなどがある。1993年、ボローニャ国際児童図書展エルバ賞を受賞した『にじいろのさかな』をはじめとする「にじいろのさかな」シリーズは、世界で3000万人の読者に迎えられた大ベストセラーとなっている。

 

訳:谷川俊太郎

1931年、東京に生まれる。高校卒業後、詩人としてデビュー。1952年、第一詩集『二十億光年の孤独』(創元社)を刊行。1962年に『月火水木金土日の歌』で日本レコード大賞作詞賞、1975年年に『マザー・グースのうた』(草思社)で日本翻訳文化賞、1982年に『日々の地図』(集英社)で読売文学賞、1988年に『はだか』(筑摩書房)で野間児童文芸賞、1993年に『世間知らず』(思潮社)で萩原朔太郎賞、2010年に『トロムソコラージュ』(新潮社)で鮎川信夫賞などを受賞。詩作のほか、絵本、エッセイ、翻訳、脚本、作詞など幅広く作品を発表。絵本の翻訳作品には、「にじいろのさかな」シリーズ(作/マーカス・フィスター 講談社)、『スイミー』(作/レオ・レオニ 好学社)などがある。

※絵本より引用

【作:マーカス・フィスター 訳:谷川俊太郎 出版社:講談社

 

 


いろとりどり (講談社の翻訳絵本)

 

はしれちいさいきかんしゃ

f:id:kiko_book:20220402162429j:plain

 

世界傑作絵本シリーズのデンマークの絵本。


小さなきかんしゃは、遠くまで走ることができません。

 

いつか隣町へ行ってみたいと思いながら、旅行している自分を想像していました。

 

そんなある日、機関士さんの目を盗んで、小さなきかんしゃは一人で走り出しました。

 

駅のホームを向け、いろんな景色が見えます。

 

重そうなものを運んでいる人や、牧場にいる男の子、こうし、走るうま、

 

こひつじややぎなどの動物、草原。

 

小さなきかんしゃは駅に差し掛かった時に、駅長さんがポイントを切り替え、

 

あっという間に線路から飛び出してしまいました。

 

道なき道を走りだし、野原を渡り、庭を通ると、イェンセンさんのおうちの玄関に

 

向かってまっしぐら。

 

ドアを開け台所に入ると、イェンセンさんは食事を作っています。

 

まったく機関車には気づいていません。

 

イェンセンさんは機関車のピーという警笛の音を聴いて、振り返りびっくり。

 

機関車も無我夢中で走り出し、裏口をやぶって飛び出しました。

 

裏庭の洗濯物のほし竿をさらいとり、もみの木も乗せて行きました。

 

そのまま隣の町へ。

 

胸をはずませながら、あこがれの隣町を走り抜けます。

 

通りの人々は洗濯ものともの木を積んだ機関車にあっけにとられています。

 

そのうちに、いつの間にか線路に戻っていました。

 

トンネルを抜けると、高い鉄橋の上を走っていると、見覚えのある場所に。

 

イェンセンさんのうちの前で、コトンと洗濯物のほし竿が落ち、

 

見事イェンセンさんはパリパリに乾いた洗濯物をキャッチしました。

 

もみの木は牧場に落とし、石炭もなくなり、もう走るのは限界になったころ、

 

今朝の出発場所にたどりつきました。

 

小さな機関車のながいながい旅の1日。

 

小さな機関車は今も、毎日まじめに働いていますが、

 

ふとした時に、旅行に出たあの日のことを思い出します。

 

 

いつも決められた線路の上を、時間を守って走る機関車。

 

いつか自由に行きたい場所へ行ってみたいという夢を叶え、

 

機関車はその思い出だけで、走っていける。

 

想い出だけで、生きていけるという言葉を思い出します。

 

きっと一人で自由に走るとき、いつもの駅も、景色も色鮮やかにうつったに違いありません。

 

その特別な1日も、日々の暮らしがあるからこそ、キラキラ輝く、

 

特別な思い出になるのだろうなと思いました。

 

機関車が自分の意思で走り始めるお話は他にもありますが、線路をはずれて、

 

道なき道をゆく姿は、すがすがしくも、頼もしくも感じ、開放感があります。

 

家の中に迷い込んで入ってしまうところも意外性があって、この絵本ならではと思います。

 

《著者紹介》

作・絵:イブ・スパング・オルセン

1921年デンマークコペンハーゲンに生まれました。ブローゴー教員養成所、王立美術大学(グラフィックアートを学ぶ)を経て、その後9年間教師をしました。1960年ごろから雑誌のイラストレーションを描き始めましたが、やがてさし絵画家となり、小説・詩などのさし絵を多数描きました。のちに自分でも文章を書くようになり、今日に至っています。国際アンデルセン賞(画家賞)をはじめ数々の賞を受賞し、数カ国で出版されるなど、デンマークのすぐれた絵本作家の一人として活躍しました。代表作には

『つきのぼうや』『ぬまばばさまのさけづくり』(以上、福音館書店)のほかに、『キオスクおばさんのひみつ』『ネコ横丁』(以上、文化出版局)などがあります。2012年没。

※絵本より引用

【作・絵:イブ・スパング・オルセン 訳:やまのうちきよこ 出版社:福音館書店

 

 

 

 

 

る    *さいとうしのぶ

 

子どもとしりとりをしていて、いつも困る『る』の音。

 

ルーレット、ルビー、るすばんでんわ、ルービックキューブ、ルアー、

 

頑張って絞り出しも、これだけしか出ない。

 

この絵本には、『る』から始まる言葉がたくさん登場します。

 

しりとりはかせと、なかよしのオームのルドルフがしりとり遊びを始めました。

 

サイ→イルカ→かさ→サル→ルビー→ビール、、、、また『る』。

 

困ったしりとりはかせがおうちの外に、『る』の着くものを探しに出かけます。

 

マーケットで見つけたルッコラ、カレーのルー、道をどんどん歩いていくと、

 

『る』の博物館を発見!

 

中に入ると、博物館に所蔵されているもの全部の名前に『る』がつくから驚きです。

 

ルリタテハという名の蝶や、ルリガイという貝に、ルリカケスという鳥。

 

鳥に関しては数十匹も『る』から始まる名称なのだ。そして鉱石のルチル。

 

博士はたくさんの『る』から始まる言葉を見つけ、ご満悦で博物館の外に出ると、

 

広場の舞台ではルンバを踊る2人が。そして家に着くと、

 

毎日一緒にしりとりをしているオームもルドルフだったことに気が付きました。

 

『る』から始まる言葉をうーんと掘り下げた、『る』の専門書のような絵本です!

 

しりとりに困ったときには、ぜひこの絵本を手にとってもらいたいです(*^-^*)

 

いろんな生物の名前も同時に覚えることができ、この絵本の最大の魅力は、

 

子どもの困ったなぁ、わからないなぁに遭遇したときに、

 

どうやって調べるのか、どうしたら問題を解決することができるのか、

 

方法を提示してくれている絵本です。

 

学びの根本がここにあるように思います。

 

《著者紹介》

作:さいとうしの

1966年大阪府堺市に生まれる。嵯峨美術短期大学洋画科卒業。テキスタイルなどのデザイナーを経て、インターナショナルアカデミー絵本教室に学ぶ。現在、絵本創作を続けながら、手作り絵本を広める活動をしている。『子どもと楽しむ行事とあそびのえほん』(文・すとうあさえ/のら書店)で第55回産経児童出版文化賞ニッポン放送賞受賞。他の作品に『わらべうたであそびましょ!』(のら書店)、『おはなしだいどころ』『おはなしきょうしつ』『おはなしどうぶつえん』(以上、PHP研究所)、『あっちゃんあがつく』(原案・みねよう)『しりとりしましょ!』『おみせやさんでくださいな!』『おしゃべりさん』シリーズ、『ひみつのてがみじゃ!』(うた・高木あきこ)(以上、リーブル)、『あぶくたった』『おべんとうばこのうた』『みち』(以上、ひさかたチャイルド)、『十二支のかぞえうた』(佼成出版社)、『おいしいおとなあに?』(あかね書房)、「たこやきようちえん」シリーズ、『ちっちゃなつぶやき なぞなぞちゃん』(ポプラ社)、『ゆげゆげ~』(教育画劇)、『まほうのでんしレンジ』(原案・たかおかまりこ/ひかりのくに)、『まんまるおつきさん』(作・ねじめ正一/偕成社)、『じかんだよー!』(白泉社)『なぁなぁ、あそぼ~!』(岩崎書店)など多数ある。

※絵本より引用

【作:さとうしのぶ 出版社:PHP研究所

 

 


 

となりのまじょのマジョンナさん

となりに引っ越してきた魔女のマジョンナさん。

 

黒い服を着て、コウモリやほうき、ヘビや雲の巣も、普段気味が悪いものも、

 

マジョンナさんがいると、不思議と愛らしくユニークに見えるから不思議。

 

マジョンナさんは魔女だけどしっかり挨拶をしてくれるし、

 

色んな魔法をかけるけど、誰かを脅かしたり、迷惑をかけるような魔法はかけません。

 

いつもユーモアたっぷりな魔法です。

 

近所の子供が風邪を引けば、ハーブのスープを作ってくれたり、クッキーを焼いてくれたり、

 

ほうきを自由自在に動かし、時にはほうきにのせてくれます。

 

木にひかかったときも、手をぐーんと伸ばして取ってくれたり、

 

困ったことがあると助けてくれます。

 

ある日お菓子のキャンディーを舐めていると、

 

魔法をこっそりかけてキャンディーを大きくしてくれたり、

 

いつも人を喜ばせる魔法をかけます。

 

近所の子どもたちが、マジョンナさんの家でおやつを食べていると、

 

ドアを乱暴にたたく音がしました。

 

近所の大人たちが、魔女がこの町に住むのでは困ると抗議にきたようです。

 

マジョンナさんは、誰にも迷惑をかけていないのに、

 

魔女を差別するなんてと憤慨しました。

 

そこで抗議に来た近所の2人に魔法をかけると、

 

なんとかっこいい王子様と、きれいなお姫様になり、

 

二人は抗議に来たこともすっかり忘れ、気分良く踊り始めました。

 

それを見ていた子どもたちは、自分もお姫様や王子様になりたいとお願いしました。

 

するとマジョンナさんは、

 

”そのままのあなたが、なによりもいちばん、すばらしいのよ”

 

と二人を抱きしめました。

 

楽しい魔法の数々、魔法を決して悪いことに使わないマジョンナさん。

 

みんなを幸せにしてくれる魔法で、楽しませてくれます。

 

最後の一文は、魔法で何でもできるマジョンナさんがあえて、

 

魔法を使わない、使わない理由にまた感動します。

 

《著者紹介》

作:ノーマン・ブリッドウェル

1928年アメリカのインディア州ココモに生まれる。二つの美術学校で学び、デザイナーやライターとして活躍したのち、絵本作家としてあたたかみのある、ウィットに富んだ作品を発表している。デビュー作の『大きな赤い犬クリフォード』で、子どもが選ぶ”ベスト絵本賞”を受賞。主な絵本に、この〈となりの魔女〉シリーズと〈犬のクリフォード〉シリーズがある。

 

画家:長野ヒデ子(ながのひでこ)

1941年愛媛県今治市に生まれる。1978年、手作り絵本『とうさんかあさん』が第1回日本の絵本賞手作り絵本コンクール部門で受賞。以来、絵本や童話のさし絵、紙芝居、エッセー等で創作活動を続ける。主な絵本に『おかあさんがおかあさんになった日』(サンケイ児童出版文化賞推薦)、『せとうちたいこさんデパートいきタイ』(絵本にっぽん賞大賞)のたいこさんシリーズ、『海をかえして』(丘修三・文)、『かあさんになったあーちゃん』(ねじめ正一・文)、『狐』(新見南吉・文)など多数。最新刊に『ながのひでこ布の絵本』がある。

 

訳:ながつき るり(長月るり)

1944年京都市に生まれる。1977年から絵本や紙しばい、折り紙遊びなどを通して子どもたちと遊ぶ活動を続けている。また環境問題にとりくみ、NPO法人レイチェル・カーソン日本協会に所属して、「こどもたちと環境」についての調査、執筆などをしている。

 

デザイン協力:千葉園子

 

※絵本より引用

【作:ノーマン・ブリッドウェル 画家:長野ヒデ子 訳:ながつきるり

 デザイン協力:千葉園子 出版社:偕成社

 

 


となりのまじょのマジョンナさん (世界の絵本)

 

アナベルとふしぎなけいと

 

真っ白な雪の世界。白と、鉛色の空に囲まれた小さな町で、

 

アナベルは小さな箱を拾いました。

 

中をのぞくと、色とりどりの毛糸がありました。

 

アナベルはさっそく自分の着るセーターを編み、犬にも服を編み、散歩にでかけました。

 

毛糸はまだ残っています。

 

それからアナベルは出会う人みんなに服を編み、

 

学校ではクラスメイト、先生にカラフルな毛糸でセーターをそれぞれに編みプレゼントしました。

 

まだまだ毛糸は残っているようです。

 

家族、近所の人、お医者さん、街中の人、動物たち、そして家やポスト、車まで、

 

気が付けば町の建物全てがアナベルが編んだニットになっていました。

 

灰色一色だった町が雪の世界で、色とりどりに輝いています。

 

アナベルの毛糸はたちまちに有名になり、

 

ある日、噂を聞きつけた王子様が海の向こうからやってきて、

 

この毛糸の入った箱を買わせて欲しいと懇願しました。

 

100万ドルでどうだ?と。

 

アナベルは王子様の申し出を断りました。

 

200万ドルでどうだ?

 

アナベルは首を横に振り、売りませんと答えました。

 

王子様はその夜、三人のどろぼうをやとい、アナベルの家にしのびこませました。

 

どうぼうたちが奪った毛糸の箱を王子様が開くと、中はからっぽでした。

 

王子様は窓から箱を投げ捨て、アナベルが不幸せになるようにのろいをかけました。

 

海を渡り、いつしか箱はアナベルの元に戻ってきました。

 

アナベルはそれからも木を編んだり、たくさんの毛糸に囲まれて過ごし、とても幸せでした。

 

 

魔法の毛糸だったのでしょうか?小さな箱からは想像も出来ない程、

 

アナベルが編めば編むほど、毛糸は無限に溢れでてくるようでした。

 

アナベルの心がおどり、歌うように、次から次へと、カラフルな毛糸が。

 

そしてアナベルはその不思議な魔法の毛糸の入った箱(宝物)を自分のものにせず、

 

みんなにその喜びを編んで分かち合いました。

 

王子様が自分の欲のために奪おうとしたとき、あんなにたくさん無限にあった毛糸は、

 

あとかたもなく消えていました。

 

雪の世界のモノトーンの世界で、カラフルな毛糸はあたたかく、美しく、

 

読者の私たちの目を惹きます。

 

物質的な豊かさよりも、心の豊かさを問いかける作品です。

 

本当に大切なものや、望むものは、誰しも心の中にそれぞれがすでに持っているのかも

 

しれません(*^-^*)

 

《著者紹介》

文:マック・バーネット

アメリカ、カリフォルニア州生まれ。”Billy Twitters and his Blue Whale Problem”など、絵本のテキストを何作も手がける。本書で、2012年ボストングローブ・ホーンブック賞を受賞。アメリカ、サンフランシスコ在住。

 

絵:ジョン・クラッセン

カナダ、オンタリオ州ナイアガラフォール生まれ。アニメ映画やミュージックビデオの仕事を手がける。絵本”Cats Night Out”のイラストでカナダ総督文学賞を受賞。邦訳絵本に『どこいったん』(クレヨンハウス)がある。アメリカ、ロサンゼルス在住。

 

訳:なかがわちひろ

東京芸術大学美術学部卒業。訳書に『どうぶつがすき』(2012年日本絵本賞翻訳絵本賞)、『105にんのすてきなしごと』(ともにあすなろ書房)など。創作作品に『かりんちゃんと十五人のおひなさま』(野間児童文芸賞/偕成社)など。

 

※絵本より引用

【作:マック・バーネット 絵:ジョン・クラッセン 訳:なかがわちひろ 

 出版社:あすなろ書房

 

 


アナベルとふしぎなけいと

金のおさら  *バーナデット・ワッツ

f:id:kiko_book:20220311211902j:plain

 

イザベルとエリー大の仲よし。

 

お互いのおうちを行き来し、いつもドールハウスでお人形遊びするのが楽しみです。

 

エリーは赤い屋根の三階建てのドールハウスを持っています。

 

家具や装飾もすばらしくて、イザベルはその中でもお部屋の壁に飾っている金のおさらが、

 

あまりに綺麗で、よくわからないうちに、金のおさらをドールハウスがはずし、

 

自分のポケットにいれてしまいました。

 

その日イザベルは家までの帰り道、とても足が重くて、

 

ポケットに入った小さな金のおさらが、ずっしり重く感じました。

 

家に着くと、おさらはもっと重くなりました。

 

自分の家にあるドールハウスの壁に飾ってみましたが、全然素敵に見えません。

 

おさらをベッドの枕の下に隠しました。

 

夜ごはんも食欲がなく、あまり食べられませんでした。

 

ベッドに入ってからも、おさらの事が気になって寝付けませんでした。

 

次の日、お庭の野菜畑に穴をほり、金のおさらをうめました。

 

ひまわりが太陽の光で金色に輝き、まるで睨まれているみたい。

 

たまらなくなったイザベルはお母さんにごめんなさいと何度も謝り、

 

金のおさらの話をしました。

 

『金のおさらはエリーのものだから、ちゃんと返さないとね。』と言われ、

 

イザベルはエリーのおうちへ向かいました。

 

足が重くてしかたがありません。

 

エリーのおうちに着くと、お母さんが先に電話で話をしてくれていたので、

 

エリーとエリーのお母さんが玄関の外に出て、出迎えてくれました。

 

エリーはそのお皿あげるよと言いましたが、

 

イザベルはごめんなさい。勝手に持って帰ってしまって。これはエリーのお皿だから。

 

そして、金のおさらを元に戻すと、

 

二人はいつものようにドールハウスで夕方まで仲良く遊びました。

 

イザベルはほっとしました。

 

そしてイザベルの誕生日の日、お父さんとお母さんはドールハウスにピアノや、

 

芝生、赤い屋根をプレゼントしました。

 

エリーも小さな小さな箱に入ったプレゼントをくれました。

 

中を開けると、エリーとお揃いの金のおさらが入っていましたというお話。

 

女の子の繊細な気持ちが、美しい絵で表現されています。

 

お友達と同じものに憧れ、時には羨ましくなり、欲しくなり、

 

悪いことをしてしまった時の、後悔の気持ち。

 

大切なものを失ってしまう不安。

 

あんなに素敵に見えたものが、急に色あせて見える。

 

ドキドキしながら読みましたが、最後ちゃんとお友達にも正直に話して、

 

謝る事ができてホッとしました。

 

【作:バーナデット・ワッツ 訳:福本友美子 出版社:BL出版

 

 

 


金のおさら